2024年11月号掲載
国民から理解が得られる歯科政策の実現へ
※本記事は、「新聞クイント 2024年11月号」より抜粋して掲載。
石破 茂自民党総裁が誕生し、間髪入れず衆議院解散、総選挙となった。原稿執筆中の現時点では、その結果は定かではないが、与党が大きく議席数を減らすことは間違いないだろう。第二次安倍政権から続く安定した政局の時代は終わり、不安定で難解な政権運営となりそうな様相である。
今回の石破内閣では、前厚労大臣の加藤勝信氏、厚労畑一筋の福岡資磨氏と歯科にも理解ある陣容となったが、政局全体が不安定含みのために、歯科界の判断は難しくなる。そして歯科界の課題は、来年の参議院選挙である。
先般の週刊誌報道が示すように、日歯連盟は過去の事案からマスコミがつねに注視し、事実を湾曲し憶測だけの事件を作り上げることもある。当然、執行部は細心の注意を払っているに違いないが、慎重にも慎重な活動を求めたい。加えて、政局が自民党安定政権とはなりがたいことが予測されるだけに、どんな状況になったとしても歯科界が求める政策を成し遂げることが必要だ。
そのテーマは何か。診療報酬の大幅改定の実現は当然ながら、社会保障全体の抑制圧力が続き、特に歯科には無縁だった多額のコロナ補助金があっただけに大きな期待はできない。だとするならば、将来の歯科医療を展望し、その専門家が提唱する新たな方向性を示し具現化することではないか。個人的には総裁選で高市早苗氏の提言の中にあった「国民皆歯科健診の完全実現」こそ、歯科界内部はもとより国民にも理解が得られる政策だと考えている。