トピックス 2013年12月7日掲載 「保健・医療・介護の根底をつなぐ口腔ケア」をテーマに <font color='green'><b>平成25年度口腔衛生関東地方研究会開催</b></font> 後で読む さる12月7日(土)、日本大学法学部10号館(東京都)において、平成25年度口腔衛生関東地方研究会(那須郁夫大会長、安井利一幹事長)が「保健・医療・介護の根底をつなぐ口腔ケア」をテーマに開催された。 シンポジウムでは、まず阪口英夫氏(大生病院歯科口腔外科部長)が「口腔ケアの歴史と哲学(フィロソフィー)」と題し登壇。世界で初めて現代の口腔ケアについて言及した書籍と考えられる『The Terminal Patient :Oral Care(終末期患者:口腔ケア)』を紹介し、「口腔ケア」という言葉は看護領域から出てきた言葉であり、もともとは終末期医療や死生学(Thanatology)と深く結びついていたものであることなどを指摘した。 つづいて渡邊 裕氏(国立長寿医療研究センター口腔疾患研究部口腔感染制御室)が「病診連携のためのシームレスな口腔ケア」と題し登壇。シームレス(継ぎ目のない)な口腔ケアを行うためには、病院歯科と医科診療所の連携に加え、訪問介護ステーションや居宅介護支援事業所、地域包括支援センターなど、地域におけるさまざまな施設との連携が不可欠であるとし、今後、多職種間の連携においては口腔ケアに関する共通の目標を持つことが重要であるとした。 最後に会田薫子氏(東大大学院人文社会系研究科死生学・応用倫理センター 上廣死生学・応用倫理講座特任准教授)が「胃ろう問題と尊厳」と題し登壇。昨年、日本老年医学会が発表した、胃ろう造設の在り方に関するガイドラインの策定において中心的な役割を果たしている氏は、まず、胃ろう栄養法を含む人工的水分・栄養補給法(AHN:artificial hydration and nutrition)をめぐる認識の変化などを整理。また、人工栄養から経口摂取等への移行は医学的にも倫理的にもケースにより可能であるが、最終的には患者本人の最善のために、患者、患者の家族、医療スタッフで十分に話し合うことが大切であるとした。そして、終末期医療において口腔ケアを行う歯科専門職は、緩和ケアチームの一員としての役割が期待され、今後はさらに重要であるとした。 シンポジウムの後には指定討論の時間が設けられ、平野浩彦氏(東京都健康長寿医療センター研究所)による講演の後、那須大会長(日大松戸歯学部公衆予防歯科学教授)を含む5名が登壇し、活発な議論がなされた。歯科医師のみならず、医師、管理栄養士からも質問がよせられ、他の職種からの関心の高さがうかがわれた。