2016年1月23日掲載
「第14回 モリタ技工フォーラム2016 TOKYO」開催
まずは、2016歯科技工登竜門NEXT STAGE入賞者プレゼンテーションとして、優秀賞の今田裕也氏(歯科技工士、協和デンタルラボラトリー)による「今、I.O.Dを成功させるために私が実践していること~受圧・加圧を考慮し、患者満足をあげられた技工~」の講演が行われた。昨年行われたテクニカルコンテストとのダブル受賞となる今田氏は、歯根膜負担・粘膜負担・インプラント負担の受圧・加圧の違いを解説。その後、インプラントオーバーデンチャー製作時の留意点を、アバットメントの選択やデンチャーカラーリングなどを中心に解説した。なお、午前の講演終了後には、今田氏を始め、昨年のテクニカルコンテストの受賞者である秋山浩之氏(歯科技工士、岡本歯科医院)、岩槻 光氏(歯科技工士、歯の工房)、柳川晃恵氏(歯科技工士、かさはら歯科医院)の表彰式が行われた(本コンテストの受賞作品は、『QDT Art & Practice 2015年4月号』に掲載)。
また、大ホールではImplant、Denture、Aestheticという3つのセッションを設け、土屋雅一氏(歯科技工士、クレストデンタルアート)による「インプラント技工における私なりの留意点―インプラント治療の長期安定を目指して―」、戸田 篤氏(歯科技工士、デンタルデザイン デイズ)による「臨床総義歯 歯科技工士が目指す「生体との調和」とは」、大河雅之氏(歯科医師、東京都開業)による「Minimally Invasive Interventions & Interdisciplinary Approach for Esthetic Dentistry 審美修復治療の最前線―MIを考慮した審美修復治療とは?」の講演がそれぞれ行われた。この中で大川氏は、酸蝕症患者に対して行った補綴治療を例に、MIのコンセプトについて解説(本ケースは『ジャパニーズ エステティック デンティストリー2014』に掲載)。その治療技術の高さや最終補綴物の美しさはもちろんのこと、数多くの文献を基に治療方針が決められており、その説得力の高さが印象に残る講演であった。
さらに「ハンズオン」では、CAD/CAM、Morphologyという2つのセッションを設け、それぞれ江本朋弘氏(歯科技工士、クラレノリタケデンタル)による「高透光性マルチレイヤードジルコニアとその可能性について」、伊原啓祐氏(歯科技工士、鶴見大歯学部歯科技工研修科)による「知識で変わる歯のかたち~天然歯形態再現のポイント~」が行われた。教育現場で働く伊原氏は、生徒に対して指導する際、あいまいにしか指摘できなかったという自身の過去の経験を基に考え初めたという、天然歯形態を再現するためのポイントを紹介。天然歯の模型と実際に生徒がカービングしたものを比較しながら、非常に明快にポイントを挙げていった。
なお、来年の技工登竜門NEXT STAGEは、再度テクニカルコンテストが行われるということである。若い新たな人材の発掘に期待したい。