2021年11月14日掲載
戸原 玄氏と田中雅美氏が講演
東京都歯科医師会、東京デンタルフェスティバル2021を開催
冒頭の開会挨拶で井上会長は、「東京デンタルフェスティバル」の概要についてふれ、口腔の健康に関する情報を一般の方向けにわかりやすく伝えることを目的に企画されたものであり、今年で7回目の開催であることを述べた。そして、本フェスティバルのプログラムを紹介するとともに、さまざまな全身疾患に対して口腔ケアが良好な結果をもたらすと述べ、「いつまでもおいしく食べる喜びを感じてもらうためには、口腔の健康は欠かすことができない重要な要素」と主張した。
次に戸原 玄氏(医歯大大学院医歯学総合研究科医歯学専攻老化制御学講座摂食嚥下リハビリテーション学分野教授)より、「よりよく食べてより良く生きる」と題し、講演が行われた。戸原氏はまず、VF(嚥下造影検査)で撮影した健常者と高齢者の嚥下の様子を供覧。健常者と比較し、嚥下の速度が下がっている様子を解説するとともに、高齢者、特に80歳以降になると肺炎、誤嚥性肺炎による死亡リスクが上昇すると説明した。また、嚥下障害対策として姿勢を良くすることを挙げ、猫背を直すだけでも十分に嚥下障害が改善される主張し、おすすめのストレッチと開口訓練を紹介した。
その後は田中雅美氏(元水泳選手)による「健康を保つエクササイズとお口のケア」と題し、ゲストトークが行われた。田中氏は冒頭、今年行われた東京オリンピックの水泳を振り返るとともに、アスリートの口腔ケアの重要性を主張。過去に歯の痛みで練習や試合に支障をきたした経験や、現役引退後はダイエットにはまっていると明かし、健康を保つおすすめのエクササイズをみずから実践しながらポイントを解説。口の健康とともに体の健康づくりを促した。
引き続き、先ほど登壇した戸原氏と田中氏、そして末田麻由美氏、高品和哉氏(共に東京都歯理事)による「若さを保つ口腔ケア ~楽しく食べて、お口をととのえ、健康になろう~ 」と題したシンポジウムが行われ、視聴者からの事前質問に対して高品氏と末田氏は、歯周炎と全身疾患の関連や、口臭予防について解説し、定期的に歯科健診を受けることを推奨した。
最後に、田中氏より「食べたいものが食べられることの大切さについて」、戸原氏より「口腔ケアが浸透してより多くの国民が健康で楽しい生活を送ってほしい」とそれぞれ視聴者へメッセージを送り、盛会となった。