社会|2024年9月18日掲載

「エンドも在宅歯科医療も、共通の目標は感染コントロール」をテーマに

第24回歯内療法症例検討会開催

第24回歯内療法症例検討会開催

 さる9月15日(日)、第24回歯内療法症例検討会(株式会社Toppy主催)が東京医科歯科大学(東京都)の現地およびWeb配信のハイブリッド形式にて開催された。

 本会は吉岡隆知氏(東京都開業)が中心となり、歯内療法症例をさまざまな角度からディスカッションを行い日常臨床のヒントを得ること、また治療へのモチベーションを維持することを主目的に開催されているもの。今回は「エンドも在宅歯科医療も、共通の目標は感染コントロール」をテーマに、症例報告と特別講演が行われた。症例発表の演題・演者を以下に提示する。

「医原性の上顎洞炎への対応」大森智史氏(医歯大)
「2歯根尖含有病変に対して外科的対応を行い、2年予後にて治癒を認めた1症例」片山卓也氏(昭和大)
「2歯根尖含有病変への対応」藤野拓郎氏(神奈川県勤務)
「歯内歯周病変の歯髄について」金子直哉氏(神奈川県開業)
「診断・治療方針に苦慮する一症例」菅野貴文氏(北海道勤務)

 最後に、本検討会のテーマでもある「エンドも在宅歯科医療も、共通の目標は感染コントロール」と題し、猪原 健氏(広島県開業)、猪原 光氏(広島県勤務)による特別講演が行われた。猪原 健氏は、歯科治療は口腔感染症との戦いであり、それは歯内療法も在宅歯科医療も同じであると話した。糖尿病、脳卒中、肺炎、顎骨壊死、感染性心内膜炎などの発症には、口腔内の細菌が大きくかかわっている可能性を述べ、これらの多くは在宅歯科医療の現場で対応せざるを得ない現状を話したうえで、それぞれの疾患の概要とその治療方針について解説した。

 猪原 光氏は、自身が経験した在宅歯科医療現場の芳しくない状況を述べたうえで、対症療法ではなく、根本から解決していくための「予防」に力を入れていき、負の連鎖を止める必要があることを強調した。そのための組織づくりや地域での医療連携などの自身の取り組みを述べ、患者が最後まで口から食べられる環境をつくることの重要性を話した。

 本検討会では歯内療法の専門的な診断や治療方針、術式を学べることはもちろんのこと、特別講演をとおして、みずから治療した患者の「その先」を垣間見ることができ、若手歯科医師にとっては「歯科医療」という壮大なテーマを見直す良い機会になったものと考えられる。

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