学会|2024年10月7日掲載
「歯周病への新たなる挑戦」をメインテーマに
第67回秋季日本歯周病学会学術大会開催
さる10月4日(金)、5日(土)の両日、札幌コンベンションセンター(北海道)において、第67回秋季日本歯周病学会学術大会(菅谷 勉大会長、沼部幸博理事長)が「歯周病への新たなる挑戦」をテーマに開催された。なお、オンデマンド配信は10月30日(水)から11月28日(木)に予定されている。
本大会では2日間にわたり、特別講演、シンポジウム、教育講演、専門医機構共通研修、歯周組織再生医学優秀論文賞受賞講演、市民公開講座、口演発表、ポスター発表、ランチョンセミナーなど、充実したプログラムが組まれた。
1日目に行われた特別講演1では、「ここまで分かった『低ホスファターゼ症における歯科所見』―小児歯科医から歯周病領域の先生方にお伝えしたいこと」と題して、仲野和彦氏(阪大大学院歯学研究科小児歯科学講座)が登壇。低ホスファターゼ症について、主症状や病型分類、診断基準などの最新情報を症例とともに解説した。乳歯の早期脱落という歯科症状から全身疾患の診断につながる数少ない疾患であること、早期発見が患者のQOLに直結するということで、「歯科の臨床現場でこそ見逃さないでほしい」と締めくくられた。
また、特別講演2では、「誰もが歯を残し認知症を発症する時代に歯科医師に望まれること」と題して、枝広あや子氏(東京都健康長寿医療センター研究所 自立促進と精神保健研究チーム認知症と精神保健)が登壇。認知症基本法が今年施行されたことにもふれたうえで、歯科医院においても認知症患者・家族への対応が必須となっているとし、そのためには患者本人の話を傾聴することがとくに重要になってきていると強調した。
2日目に行われた歯科衛生士教育講演では、「歯科衛生士のための骨免疫学」と題して、塚崎雅之氏(昭和大歯学部口腔生化学講座)が登壇。骨は破骨細胞・骨芽細胞のバランスによって成り立っているということで、この2つの細胞についてとくに焦点をあてて説明した。さらに、SRPによって感染除去を行うと骨再生を促すタンパクの産生につながるというデータも提示し、歯科衛生士によるSRPの意義をあらためて唱えた。
歯科衛生士シンポジウム「効果的な洗口液の選び方・使い方」では、平野恵実氏(日歯大新潟病院歯科衛生科)、牧島真美氏(竹田歯科クリニック)、松澤澄枝氏(日歯大附属病院歯科衛生科)の3名の歯科衛生士が登壇。洗口液の特徴や種類、使い分けについて紹介されるとともに、開業歯科医院や大学病院など各々の勤務先で実際にどのように洗口液を使用しているか、症例も多数供覧された。
なお、第68回春季日本歯周病学会学術大会は、きたる2025年5月23日(金)、24日(土)の両日、那覇文化芸術劇場なはーと(沖縄県)において、岩田隆紀大会長(東京科学大)のもと開催予定。