学会|2024年11月5日掲載
「矯正歯科治療における形態と機能の調和を目指して」をテーマに
第83回日本矯正歯科学会学術大会開催
さる10月29日(火)から31日(木)の3日間、パシフィコ横浜(神奈川県)において、第83回日本矯正歯科学会学術大会(森山啓司大会長、新井一仁理事長)が、「矯正歯科治療における形態と機能の調和を目指して」をメインテーマに開催され、約5,500名が参集した。
開会式では新井理事長の挨拶の後、森山大会長より本年6月に運用が開始された矯正歯科専門医制度についてのワークショップの案内がなされ、参加者に積極的な参加と意見交換を促した。続いて、Flavia Artese氏(ブラジル・リオデジャネイロ州立大准教授)が登壇し、自身が大会長を務める第10回国際矯正歯科会議世界大会(2025年10月ブラジル・リオデジャネイロにて開催予定)のアナウンスを行った。
海外特別講演では、McNamara分析の開発や数多くの論文で世界的に知られるJames A. McNamara氏(米国・ミシガン大名誉教授)による「近代歯科矯正学における治療選択の進化:59年の経験に基づく一個人としての見解」、David Rice氏(スウェーデン・ヘルシンキ大教授)による「口唇裂・口蓋裂と不正咬合を理解するための最新のアプローチ:基礎科学からビッグデータ、そしてさらにその先へ」、Greg J. Huang氏(米国・ワシントン大教授)による「アライナー型矯正装置:過去、現在、そして未来」、Artese氏による「開咬治療におけるゲームチェンジャー」の4題が行われた。
またシンポジウムでは、本大会のメインテーマ「矯正歯科治療における形態と機能の調和を目指して」について「側方的問題に対するアプローチ」と「垂直的問題に対するアプローチ」の2パートに分けてプログラムが組まれた。前者ではUte Schneider-Moser氏(イタリア開業)、根岸慎一氏(日大松戸歯学部教授)、友成 博氏(鶴見大歯学部教授)が登壇し、後者では飯嶋雅弘氏(北海道医療大歯学部教授)、西井 康氏(東歯大教授)、郡司掛香織氏(九歯大講師)、小川晴也氏(広島県開業)が登壇した。側方的問題では、顔貌・スマイルとの調和の問題、歯列形態と口腔機能の関係などについて、垂直的問題では、長期的な保定の問題、各種外科処置の有効性などについて議論され、示唆に富む内容となった。
そのほか、教育講演や臨床セミナー、スタッフ&ドクターセミナー、生涯研修セミナー、創立100周年記念学術研究プロジェクトセッション、日本学術会議公開シンポジウムなど多彩なプログラムが3日間にわたり行われ、盛会裏に終了した。
なお、次回の第84回日本矯正歯科学会学術大会は、きたる2025年9月29日(月)から10月1日(水)の3日間、札幌コンベンションセンター・札幌市産業振興センター(北海道)において、佐藤嘉晃大会長(北大大学院歯学研究院教授)のもと開催予定である。