社会|2024年11月26日掲載

歯科衛生士からよく聞かれるSRPの悩みについて、講師陣が回答

PASSION10周年記念講演会開催

PASSION10周年記念講演会開催

 さる11月23日(土)、AP大阪駅前(大阪府)において、PASSION10周年記念講演会(丸尾 操代表)が開催され、歯科衛生士・歯科医師ら166名が参集した。PASSIONは2012年に発足した歯科衛生士の卒後研修を目的としたスタディーグループで、岡山・大阪・北海道でシャープニングとSRPを中心としたハンズオンセミナーなどを実施している。2022年に10周年を迎えたということで、今回2年遅れで記念講演会が企画された。

 本会は、臨床現場で歯科衛生士からよく聞かれるSRPの悩みについて、以下のとおりPASSIONの各講師が回答する形式で構成された。質問と回答者を以下に示す。
「シャープニングをしても良いエッジが付きません」牧島真美氏(PASSION北海道校講師)
「探知がよくわかりません」丸山葉子氏(同関西校講師)
「残石をしてしまいます」奥野友紀氏(同岡山校講師)
「SRP後の歯周ポケットの原因がわからず、再SRPを迷います」萬田久美子氏(同関西校講師)
「後輩へのSRPの指導がわかりません」丸尾氏

 牧島氏は、「SRPの成否にはSRPそのものの技術が50%、シャープニングが50%かかわると言っても過言ではない」と強調。そのうえで、シャープニングがうまくいかない理由として、「テスティングのエラー」と「砥ぎ方のエラー」の2点を挙げ、それぞれの原因と解決策を具体的に提示した。

 丸山氏は、探知がよくわからない理由として、「歯牙解剖学の知識不足」「X線写真・CBCTの読影不足」「不適切な器具の選択」「歯石の性状の理解不足」「器具の挿入不足」「器具の動かし方の間違い」「探知の経験が少ない」といった7点を挙げるとともに、それぞれの学び方を紹介した。

 奥野氏は、残石がみられる理由として、「対象に合ったスケーラーの選択ができていない」「歯周ポケットへの挿入が不十分」「第1シャンクが歯軸と平行ではない」「カッティングエッジが根面に適切に当たっていない」「側方圧の方向が違う・側方圧が不足している」などを挙げるとともに、それぞれの解決策を詳説した。

 萬田氏は、再評価時に深い歯周ポケットがみられた場合、その原因を多角的な視点で考察する重要性を強調。「鳥の目」「虫の目」「魚の目」という3つの視点を挙げるとともに、各視点に応じた考察の方法について、著書『DHとDRのための歯周ポケット鑑別ガイド』や「歯科衛生士」2024年6月号特集の内容をベースに整理した。

 丸尾氏は、後輩指導における目標設定、テスティング・シャープニング・SRPの指導ポイントについて解説した。とくに手技に関する指導の際は、指導者がチェックする立ち位置も重要であるということにもふれるなど、長年臨床現場で指導をしてきたからこそ言えるアドバイスも満載の内容となった。

 なお、全講演終了後、代表の丸尾氏より本会をもって萬田氏がPASSIONを卒業することが発表された。12年間講師を務めてきた萬田氏へのサプライズとして、講師陣からの感謝と今後に向けた激励が込められたスペシャルムービーも流されるなど、会場全体が感動に包まれた。

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