デンツプライシロナ株式会社、DS World Tokyo 2024開催

　さる11月23日（土）、24日（日）の両日、ベルサール汐留（東京都）において、DS World Tokyo 2024（デンツプライシロナ株式会社主催）が開催され、約500名が参集した。DS Worldは、2017年に米国・ラスベガスからスタートしたワールドクラスのKOLによる講演とデンツプライシロナ社のソリューションや製品を体験できるデジタル・デンティストリーのためのイベントであり、このたびアジア太平洋地域では初の開催となった。

　1日目のオープニングでは、Simon Campion氏（デンツプライシロナ社長兼CEO）、Max Milz氏（Group Vice President Connected Technology Solutions）による挨拶が行われた。両氏はPrimescan2やDS Core（ワークフロー全体を統合するクラウドサービス）を中心に、デジタルテクノロジーの進化やワークフローの簡素化といった同社の製品におけるイノベーションについて詳説。モダン・デンディストリーからデジタル・デンティストリーへの進化の軌跡、そしてDS Coreの登場によるコネクテッド・デンティストリー時代の可能性をアピールした。

　次に、フアン・ロディギエロ氏（デンツプライシロナ社代表取締役社長）、草間幸夫氏（東京都開業）、小池軍平氏（神奈川県開業）による新製品Primescan2が披露された。自身の臨床にいち早く同社のデジタルソリューションを取り入れ、黎明期を知る草間氏より進化の歴史が語られ、小池氏からはPrimescan2におけるワイヤレスの実現や自動アップデート機能の搭載、DS Coreに統合されることによるソフトウェアとの一体化といった革新的な進化が解説された。

　その後は、Dr. Dan Butterman（米国開業）による講演「診断から治療までのデジタルジャーニー」、Dr. Martin Wanendeya（イギリス開業）による講演「デジタル技術を使用した、インプラント治療における最適なピンク色と白色の審美的な達成」、宮本貴成氏（米国開業）による講演「アメリカにおける歯科医療デジタル化の最前線」が行われた。なかでもDr.Dan Buttermanは、DS Coreを活用した歯科技工所との円滑な連携や治療シミュレーションによる患者さんとの共通理解の実現について披露。宮本氏は、100年前から産業の革命・医療技術の進歩の歴史を振り返った後、近年の目まぐるしいデジタル技術の発展に言及するとともに、人間の能力をはるかに凌駕したAIによる診査・診断を可能とする未来の到来に期待を寄せた。

　2日目のメインステージではオープニング後、築山鉄平氏（福岡県開業）、安藤壮吾氏（愛知県開業）による講演「デンツプライシロナとプライムテーパーが描く次世代のデジタルトランスフォーメーションとは」が行われた。特に築山氏はDS プライムテーパーインプラントのマイクロギャップを起こしづらい安定感と新生骨に対する高い生体親和性を評価した。

　次のセッションでは、綿引淳一氏（東京都開業）、小林祐二氏（北海道開業）がSure Smileをテーマにそれぞれ講演。綿引氏は、自身が考案したデュアルインサイザルプランニングコンセプトについて紹介しつつ、AIデータを普段から活用した包括的な歯科診療について解説した。小林氏は、一般歯科医の視点から自身が手掛けられる症例の見きわめとともに、専門医への紹介も含めた患者さんにとってベストな治療提供の重要性を述べた。

　その後、同社のソリューションからデジタル治療の有用性、ひいては歯科界にイノベーションを起こすためのメンバーシップとして創設された「PrimeX」セッションが行われ、3名の若手スピーカーが講演。その後は、後述するPrimeXファウンダーによるフィードバックがなされ、新進気鋭メンバーのさらなる飛躍に向けたコメントが送られた。

　そして最終セッションでは、荒井昌海氏（東京都開業）、安藤氏、金澤　学氏（東京科学大学）、高垣智博氏（朝日大学）、橋村吾郎氏、丸尾勝一郎氏（ともに東京都開業）の6名のPrimeXファウンダーによるシンポジウム「デジタルとデンツプライシロナが創る日本の歯科の未来」が行われた。シンポジウムでは、DS Coreが提供するクラウドコンピューティングサービスがもたらす診療の効率化、患者さんとのコミュニケーションツールとしての有用性、AIの発展が歯科界にもたらすパラダイムシフトなどがディスカッションされ、今後の歯科界のさらなる発展に期待が高まる内容であった。

　また、メインステージ隣の会場では企業展示やカフェスペースが設けられたほか、初日の夜にはガラディナーが開催され、参加者らが交流を深めた。そして同社ショールームでは、ブレイクアウトセッションが行われるなど盛会となった。