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2022年3月号掲載

価値を創造する歯科医療として

 仕事柄、歯科医療に対して一家言を有する歯科医療従事者とのやりとりは日常茶飯事です。もちろん、発する言葉やメールの文面の端々からは、自分の職業や仕事に誇りとこだわりをもっていることが感じられ、総じて「歯科を楽しんでいる」ことがうかがえます。

 先日、尊敬する歯科医師と「絶滅危惧種」の話題になり、とある本にAIの進歩にともなう絶滅危惧の職種として歯科技工士が含まれていたそうです。その先生曰く「将来のために伝承しなければならない技術や知識をもった『絶滅危惧種』の仕事はけっしてなくならない」とのこと。

 たしかに、技術の習得や効率化を図るためにマニュアルは必要かもしれませんが、効率化を追求する現代社会の中でこそ「創造する」ことが求められているような気がします。歯科医療も同様で、患者さんの健康を口腔から創造できる価値の高い仕事ではないでしょうか。

 昨年末、家族全員が2回目のワクチン接種を終えたこともあり、古希を過ぎた義父宅に2年ぶりに帰省しました。普段の電話やメールでは特に気になる様子はないものの、家族としては度重なる大病の経験がある義父の体調を案じてはいたのですが、そんな心配はどこへやら。歯科技工士の義父はなにやら新しい研究に取り組んでいるようで、ゴールが見えてきたとうれしそうに話していました。今なお歯科技工を「趣味と実益を兼ねた最高の仕事」と公言する彼は、年末年始の休みでさえもいそいそとラボに出かけて行きました。すぐそばにいました「絶滅危惧種」。

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