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社会|2022年3月6日掲載

日本災害時公衆衛生歯科研究会

講師に足立了平氏を招聘し、研修会を開催

講演を行う足立了平氏。
講演を行う足立了平氏。
 1月16日(日)、日本災害時公衆衛生歯科研究会(世話人:中久木康一氏、長 優子氏、後藤 大氏)による研修会がWeb配信にて開催され、歯科関係者を中心に50名以上が参加した。

 開会後、足立了平氏(ときわ病院歯科口腔外科部長、神戸市健康局歯科専門役)による講演「災害時の口腔保健~阪神・淡路大震災からの27年」が行われた。災害歯科保健支援活動の草分け的存在である氏は、1995 年1 月17日に発生した阪神・淡路大震災から27 年を迎えるにあたり、当時の被害状況など多数の写真やデータを供覧しながら回顧した。

 講演の前半では、災害は必ず起きる前提として、減災・縮災の考え方や教育、研修の必要性を挙げた。今でこそ常識になった災害時の口腔保健医療の重要性について、「神戸から発信されたものであり、災害支援の原点といっても過言ではない」と述べ、災害関連死や誤嚥性肺炎の要因、災害時の口腔ケアの重要性などを詳説した。また、その教訓を生かすべくその後に発生した新潟県中越地震、東日本大震災、熊本地震などでの経験や支援活動も紹介し、熱く語った。

 講演の後半では、高齢者にとって「口腔ケア=命を守るケア」として多職種がかかわる大切さや、平時から「災害に強い口」づくりのための今後の支援のあり方として「インクルーシブ防災」を強調。地域も含めた医療から福祉への連携や、歯科における低栄養・食支援の対応などに期待を寄せるとともに、最後に「気づく、行動する、つなぐ、疑うこと・信じること」とまとめ、成功裏に終幕した。