2021年11月20日掲載
「No Brain、No Pain」をメインテーマに
(一社)日本口腔顔面痛学会、第26回学術大会を開催
本大会は、2017年にIASP(国際疼痛学会)が「nociplastic pain」(痛覚変調性疼痛)つまり「非器質的疼痛」が存在することを公式に認めて以来、「一次性疼痛」(原因が特定できない痛み)や「特発性口腔顔面痛」などの概念がとりいれられるようになったことを受け、「No Brain、 No Pain」(痛みを知覚するのは脳である)をメインテーマとした講演内容となった。
21日(日)には、日本口腔顔面痛学会/日本顎関節学会合同企画の特別講座「今さら聞けない口腔顔面痛講座――非歯原性歯痛」が、内田貴之氏(日大松戸歯学部歯科総合診療学講座)により講演された。内田氏は、歯科を受診する患者の痛みはほとんどが「歯原性歯痛」だが、なかには「非歯原性歯痛」も少なくはないと述べ、「歯原性歯痛」と「非歯原性歯痛」の診断・治療の概要と、診断がつかない患者のスムーズな口腔顔面痛専門医への紹介について解説した。内田氏は、「非歯原性歯痛」の1つ「筋・筋膜性歯痛」の診断はトリガーポイントを圧痛検査することで訴えている痛みを再現できると述べ、その治療としてはトリガーポイント(筋・筋膜)のマッサージやトリガーポイントインジェクション(麻酔薬の注射)を行うことで、過敏化した筋・筋膜の環境をリセットする方法を紹介した。続いて「神経障害性疼痛」の薬物療法、「上顎洞性歯痛」の診断と治療、「持続性神経障害性歯痛」「神経血管性歯痛」「精神疾患・心理社会的要因による歯痛」「特発性歯痛」などを紹介した。
ほかにも教育セミナー「Burning Mouth Syndromeのパラダイムシフト」などが開催され、最新の知見が解説され、治療法が確立していないこれらの症状の各施設での対応などが発表された。
また、日本口腔顔面痛学会作成のデジタル化教科書が閲覧可能で、患者の鑑別診断のプロセスを再現して学習できるVirtual patientsを実装した口腔顔面痛学習アプリが日本口腔顔面痛学会からリリースされたことが告知された。