社会|2025年3月26日掲載

「美の探求と伝承」をテーマに

日本審美歯科協会、40周年記念講演会を開催

日本審美歯科協会、40周年記念講演会を開催

 3月22日(土)、23日(日)の両日、福岡国際会議場(福岡県)において、日本審美歯科協会40周年記念講演会(平井友成会長)が、「美の探求と伝承」をテーマに開催され、約1,100名が参加した。

 22日の歯科衛生士基調講演では、松村香織氏(福岡県勤務)が「病気をもった高齢者の歯科治療において注意したいポイント」と題して講演。松村氏が勤務する公立八女総合病院が位置している福岡県八女市の高齢化率は38%となっているが、75歳以上では7種類以上の薬を服用している患者がほとんどであるという。この現状に、歯科医師は「医科の全身疾患」や「薬剤」に対応できるのか?と問いかけた。

 そして、BP製剤を服用している患者が抜歯後2か月のあいだに抜歯窩が治らなかった場合、小さな腐骨を除去するとすぐに抜歯窩が治癒した例や、術前に抗菌薬を投与しなかったため、抜歯後に出血・感染トラブルを起こした例を示し、全身疾患や薬剤の素養が必要な例を示した。薬剤を投与されている患者のトラブルを起こさないためには、(1)問診による既往歴の確認、(2)服用薬剤の確認、(3)医師との確認――が必要だが、問診の患者の答えのみならず、服用薬とお薬手帳から、既往を推察できることが求められると述べた。

 また、抗凝固薬、血糖降下薬、抗がん剤、免疫降下薬、ステロイドなどが投与されている患者においては、観血的な歯科治療に際して、出血、循環動態(血圧)、低血糖、術後感染、顎骨壊死などに注意が必要であると解説。特に、定期処方の鎮痛薬・抗菌薬は、医科と歯科で2重投与になりやすいため、重複処方・過量投与にならないように注意が必要と述べた。加えて、全身疾患の未治療症例、コントロール不良症例は、観血的治療での合併症につながるため、スクリーニングが重要と述べ、医科との診療情報連携のために、診療情報提供書の書き方のポイントを示した。

 23日のプロフェッショナルの流儀セッション、なかでも修復治療のテーマでは、泥谷高博氏(福岡県開業)が「前歯部ダイレクトボンディングにおける色あわせ その修正の必要性と方法」と題して講演。泥谷氏は、前歯部CR修復の多くのケースで基本のシェードをA3とし、A3E+A3.5Bの2シェードの厚みを調整して色を合わせ、色味が特別に濃かったり明るかったりするケースでは、ベースシェードをA4(A3E+A6B)、A2(A2E+A3B)、A1(A1E+A1B)とし、ルーティーン・パターンに沿って、機械的に、最小のシェード数でCR修復を行うと説明した。なお、それで色が合わない場合において後日微調整する氏の方法を、(1)前歯部審美修復の基礎知識、(2)レイヤリングテクニック、(3)キャラクタライズ、(4)ユニバーサルシェード、(5)修正の必要性と方法、の順に解説。ユニバーサルシェードCRの修復では、「オムニクロマ」(トクヤマデンタル)、「フィルテックイージーマッチ」(ソルベンタム)を用いた例を示した。

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