学会|2025年4月1日掲載

「包括的矯正歯科の最前線:機能と審美の両立を目指して」をテーマに

日本包括的矯正歯科学会(JIOS)、2025年第1回例会を開催

日本包括的矯正歯科学会(JIOS)、2025年第1回例会を開催

 さる3月30日(日)、日本包括的矯正歯科学会(JIOS、綿引淳一代表理事)による2025年第1回例会が、「包括的矯正歯科の最前線:機能と審美の両立を目指して」をテーマに野村コンファレンスプラザ日本橋(東京都)およびWeb配信にて開催された。一般歯科医、矯正歯科医を中心に会場・オンライン合わせて約90名が参加し盛会となった。

 午前は、綿引氏(東京都開業)による教育講演、およびLee Yoon-Jung氏(韓国開業)による特別講演が行われた。綿引氏は「私が提唱する生体最適化咬合コンセプトを包括した新JIOS包括的矯正歯科難易度分類に関して」と題して登壇し、補綴治療と矯正歯科治療の融合を目的に、独自に考案した生体最適化咬合コンセプトを紹介し、難易度の分類から治療計画を導くステップについて解説した。続いて、Lee氏は「Screws in Orthodontics: My Essential Co-Worker」と題して登壇し、各種不正咬合に対応するマルチブラケット装置とTADの併用方法について症例をとおして解説し、効率的な歯の近遠心移動、挺出あるいは圧下を達成するためのポイントを詳解した。

 午後は会員発表が行われ、まず丹野 努氏(栃木県開業)が「オルソインプラントセラピーの実践」と題して登壇した。丹野氏は、インターディシプリナリーアプローチを行っている自身の症例およびフィロソフィーをとおして、不正咬合のある患者へのインプラント治療の前処置として矯正歯科治療を行うことを推奨した。また歯の移動量や部位によりインプラント埋入を先行してもよい場合の具体例も示した。次いで甘利佳之氏(東京都開業)が「包括的歯科治療におけるTMJの重要性」と題して登壇した。甘利氏は、下顎位が不安定な患者では全顎矯正の開始前に、MRIによる関節円板の位置確認および顎運動の測定などの顎関節の検査・診断が不可欠であるとし、必要に応じた矯正前治療についてもふれた。

 講演後にはディスカッションが行われ、矯正歯科治療後の補綴治療のタイミング、スプリント治療による下顎誘導の是非、歯科医師によるMRI読影の必要性などについて活発な議論が交わされた。

 また、2021年から包括的矯正歯科研究会(IOS)として活動してきた本会は、本年からの学会化にともない「包括的矯正歯科認定医制度」が発足する。あわせて包括的矯正リサーチセンター(IORC)を設立し、国内外の5大学、2企業との国際的共同研究プロジェクトを進めていくことが参加者にアナウンスされた。

 なお、第2回例会は、きたる6月29日(日)に同会場において「診断から補綴まで―デジタル技術が変える包括的治療戦略―」をテーマに開催予定である。

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