社会|2025年4月7日掲載

「健康長寿に必要なこと―知ってほしい!お口の重要性―」をテーマに

日本医師会・日本歯科医師会合同シンポジウム開催

日本医師会・日本歯科医師会合同シンポジウム開催

 さる、4月6日(日)、日本医師会館(東京都)において、日本医師会・日本歯科医師会合同シンポジウム(日本医師会・日本歯科医師会共催/読売新聞社協力/厚生労働省後援)が「健康長寿に必要なこと―知ってほしい!お口の重要性―」をテーマに行われた。

 冒頭、松本吉郎氏(日本医師会会長)によるビデオ挨拶、高橋英登氏(日本歯科医師会会長)による挨拶が行われ、口腔の健康と全身の健康との関係性にふれつつ、国民の健康長寿の実現に向けた展望やメッセージが贈られた。

 講演1では、飯島勝矢氏(東京大学高齢社会総合研究機構長/未来ビジョン研究センター教授)が「健康長寿 鍵は『オーラルフレイル予防』」の演題にて講演。飯島氏は、口腔機能の低下が身体機能や認知機能の低下につながる負の連鎖について解説した。そして2024年、理解・評価しやすい形で再リリースされたオーラルフレイル概念図とともに、セルフ評価が可能な新指標「Oral frailty 5-item Checklist:OF-5」の概要について示し、早期の段階で機能低下を認識するとともに、健口な状態を維持する重要性を強調した。

 講演2では、沼部幸博氏(日本歯科大学生命歯学部歯周病学講座教授)が「命をねらう歯周病―全身の健康はお口の中から―」の演題にて講演。沼部氏は、健常な歯周組織と重度歯周炎を引き起こした歯周組織図を供覧し、プラークが蓄積することによって歯肉炎、さらに進行すると歯周炎となり、歯肉の退縮や歯槽骨の吸収が起きる歯周病のメカニズムを詳説した。また、歯周病菌は毛細血管から全身に広がることで全身疾患を引き起こす増悪因子であることを述べ、かかりつけの歯科医院にて定期的なメインテナンスを行うことを促した。

 講演3では、黒瀨 巌氏(日本医師会常任理事)が「お口の健康を維持するための禁煙のすすめ」、講演4では、小林隆太郎氏(日本歯科医学会副会長)が「誤嚥性肺炎対策における口腔健康管理の意義」の演題にて講演した。黒瀨氏は、喫煙者の罹患率の高い疾患として特に歯周病や糖尿病を挙げたうえで、喫煙が多くの疾患のリスク・増悪因子であることを述べ、禁煙の取り組みや指導について紹介した。小林氏は、口腔健康管理の概念や認知症のメカニズム、誤嚥性肺炎について説明し、命を守る口腔健康管理の大切さを説いた。

 その後は、伊藤明彦氏(日本歯科医師会常務理事)より口腔機能を維持・向上させる口腔体操が実践され、最後は前述の4名の演者とコーディネーターを加えた5名によるパネルディスカッション「健康長寿に必要なこと―医科歯科連携の重要性―」が行われた。ディスカッションでは、国民から寄せられたオーラルフレイルや歯周病予防に関する事前質問について各演者が回答し、健康長寿そしてQOLの向上につながるアドバイスが贈られた。また、口腔の健康状態が医科疾患にも関与することから医科歯科双方向の連携推進や医療情報の共有、専門性の異なる際における共通言語の必要性などについても議論がなされた。

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