2024年2月号掲載
米国歯科大学院同窓会の次期会長
海外の歯科専門医教育を修了した歯科医師を中心に構成される米国歯科大学院同窓会(JSAPD)。4月から17代目会長に就任する築山鉄平氏(福岡県開業)は、専門医の集団だからこそ継続性のある情報を発信したいと意気込む。本欄では、近年日本において歯科の役割が注目を集めるなか、氏が目指す会の方向性についてうかがう。
築山:本年1月に開催された米国歯科大学院同窓会(JSAPD、以下、本会)総会で次期会長に承認され、4月1日より2年間にわたって会長職を務めることになりました。
本会の活動は、会員相互間の親睦・情報交換や学術交流を主な目的として、年次総会を2日間にわたり開催しています。1日目は、主に新入会員の紹介とクローズドセミナーによる、出身大学や自分の専門外の分野といった垣根を越えた最新情報を意見交換したり、日常臨床における症例を通じた発表をしたり、お互いにディスカッションするというスタイルです。そして2日目は公開セミナー(講演会)として、会員外の先生方にも参加していただいています。本会が来年35周年を迎えることができることは、ひとえに歴代会長はもとより会員の先生方の多くがいまなお歯科界の第一線で活躍されているおかげです。
学び方に関しては、近年ではインターネットやスマートフォンが普及し、最近ではAI(人工知能)も登場しているなかで、大きな変革が求められています。私が米国に留学中の2008年には世界中でスマートフォンやSNSが普及し、情報収集だけでなく発信方法が劇的に変化しました。
海外に留学して専門医教育を学んできた先輩方は、学術論文を中心とする情報収集によって、その専門分野を論理的かつ包括的に理解する希少性が注目されていたと感じています。また、実際の症例に関してもエビデンスに基づく高度な歯科治療技術と卓越した経験を有しており、会員の先生方の多くが日本の歯科界を牽引してきたことは執筆された論文や書籍からも周知のとおりです。もちろん海外での経験を通じて医療の質を担保する専門教育を学びグローバルな視点をもつことは、歯科医師にとって大きなアドバンテージとなります。現在では、歯と口の健康が全身の健康につながるエビデンスも明らかになりつつあります。また歯科界もデジタル化が急速に進み、これまでの治療主体から予防主体へとシフトしてきているなかで、今後ますます専門性が重要視されると考えています。
本会に限ったことではありませんが、組織の継続性を考えるうえで斬新かつ革新的なアイデアが不可欠です。私は先達らがこれまで築き上げてきた学びに関するレガシーを継承しつつも、新しい風を組織に吹き込み、少しでも海外を目指す歯科医師への橋渡しと、ひいては日本の歯科医療の向上に貢献できるような組織にしたいと考えています。