2024年12月号掲載
日本歯科医師会の 広報常務理事を務める
※本記事は、「新聞クイント 2024年12月号」より抜粋して掲載。
「伝える」から「伝わる」広報活動で歯科界を盛り上げたい
日本歯科医師会(以下、日歯)は、2018年より実施している「いい歯は毎日を元気に」プロジェクトにおいて新たな取り組み「未来の歯産価値を、今からつくる。#投歯」を展開することを11月7日に発表した。伊藤明彦氏(日歯常務理事)は、時代のニーズにマッチした広報戦略の必要性を挙げる。本欄では、氏に今回の取り組みの狙いと日歯が目指す広報活動のあり方についてうかがった。
伊藤:日歯では、2018年より8020運動の積極的な推進と、歯科医療への正しい理解促進のために「いい歯は毎日を元気に」プロジェクトを推進してきました。本年は国民に、より将来のことを考えた口腔ケアへの関心を高めていただきたいと考え、新たな取り組みを11月7日より展開しました。
今回のプロジェクトの展開にあたっては、日歯が作成した造語「投歯(セルフケアとプロフェッショナルケアで口腔の健康に努めること)」「歯産価値(口腔環境が健康な状態を財産ととらえ、その状態がもたらす、良いもの・こと)」「口腔負債(口腔環境の悪化やそれが原因で、将来的な医療費の負担増を招きかねない状態)」をキーワードに、特設ページ、投稿コンテスト、オリジナルショートドラマの3 つのコンテンツから国民の皆様へ情報を発信してまいります。
これまでと大きく変わった点として、メディアプラットフォームとコラボした投稿コンテストは国民の皆様から歯に対する考えやケアの方法、エピソードを募集する参加型のコンテンツとなっています。日歯が本年9月に実施した投歯に関する意識実態調査では、特に20代は見た目のケアが優先で“投歯”の意識が低い実態が明らかになっています。そのようなことから今回のような双方向性のある参加型の取り組みをつうじて、若いうちから口腔内の健康を保つことによって将来の医療・介護の費用が抑えられることを理解していただき、少しでも自分事化していただくことで投歯の意識を高めてほしいと願っています。
また「いい歯は毎日を元気に」プロジェクトとは別に、新たな広報事業として11月8日より、フジテレビ系列「めざましテレビ」で全国地上波テレビシリーズ化されている「紙兎ロペ」とのスペシャルムービー「ニッシのひみつ」をホームページで公開しました。動画配信に併せたランディングページでは、4つのコンテンツ「日本歯科医師会ってなに?」「災害時にたいせつな歯科医療」「日本の歯科医療の歴史を知ろう」「“歯”にまつわる面白雑学」を公開し、日歯の成り立ちや歴史、災害時の口腔ケアなど、登場キャラクターのロペとアキラ先輩の軽妙なやりとりでわかりやすく説明しています。
日歯は、国民の皆様に少しでも歯や口に関する興味・関心をもっていただくことはもとより、歯科医師会の組織がより身近で大切な存在となるように、「伝える」から「伝わる」ためのさまざまな広報活動を展開し歯科界を盛り上げたいと思います。