2022年12月8日掲載
石塚洋一氏、山田美穂氏が「濃度(ppm)だけじゃない! 効果を左右する『使い方』に注目。フッ化物配合歯磨剤アップデート」をテーマにWeb講演
クインテッセンス出版株式会社、第34回WEBINARを開催
石塚氏はまず、「歯科衛生士」2021年7月号に付属しているとじ込み付録「使用法チェック&フッ化物配合歯磨剤一覧シート」を供覧しながらブラッシング後も有意な効果を持続させるフッ化物濃度に言及した。1)フッ化物配合歯磨剤の使用量、2)ブラッシング時間、3)すすぎに使用する水の量――の3つがフッ化物の効果を得るにあたり重要な要因と説明した後、高濃度のフッ化物配合歯磨剤を用いても正しく使用しなければ十分なう蝕予防効果が得られないことを強調した。
次に、フッ化物配合歯磨剤によるう蝕予防効果とフッ化物の効果を最大限に引き出すポイントについて解説した。ここ数十年において「う蝕有病率と重症度は先進国で減少している」といわれながらも、高齢者ではう蝕有病率が高止まりしている現状を示し、「個人のブラッシング習慣に改善の余地があるのではないか」と見解を示した。また、う蝕の予防に関連する論文や研究データを示しながら1日2回、2cm量のフッ化物配合歯磨剤を用いて2分間のブラッシング後、2時間は飲食を控える「2+2+2+2テクニック」を紹介した。
続いて山田氏は、「フッ化物を患者さんに正しく使ってもらうには?」のテーマで講演。フッ化物の使用による歯質強化を解説するにあたり、脱灰と再石灰化のメカニズムおよびブラッシングの2つの目的として酸を生産する原因除去と酸に対する抵抗性の付与にふれた。また、会話形式による具体的な患者さんとの会話モデルを示しながら、患者さんの懐に入れるような話題とともにエビデンスと経験を織り交ぜたトークを披露。そして、「歯科衛生士は患者さんにとって心地よいパートナーとなり健康を守っていきましょう」と講演をまとめた。
講演後の質疑応答では、患者さんがフッ化物塗布への安全性に不安を感じている場合の対応について質問が寄せられ、山田氏が回答。「患者さんに正しい使い方と安全に活用できる使用量を説明し理解を得ること」と述べた。また石塚氏は、ジェルやフォーム、歯磨剤の使い分けと使用時のポイントにおける質問に対し「ジェルとフォームだけでなく基本はペーストタイプの歯磨剤を用いて、前者は主にセカンドブラッシングとして使ってもらいたい」と述べた。