社会|2024年12月2日掲載
岡崎好秀氏が「世界最強の保健指導論~説得から納得へ~」をテーマにWeb講演
クインテッセンス出版株式会社、第63回WEBINARを開催
さる11月29日(金)、岡崎好秀氏(国立モンゴル医学科学大学客員教授)によるWEBINAR #63「世界最強の保健指導論~説得から納得へ~」(クインテッセンス出版主催、北峯康充代表取締役社長)が開催された。本講演は、岡崎氏の著書『世界最強の歯科保健指導・上巻―診療室から食育まで―』の内容をベースに行われた。
岡崎氏は冒頭、小児が歯科医院を後にする際、泣かせたまま帰すことを「心に借金をして帰す」と表現。しかしそれでは口腔の価値観や健康観を育成するどころか、信頼関係の構築もできず口腔内が悪化してからの受診という、悪循環に陥ってしまいかねない。そのため「心に貯金をして帰す」、すなわち笑顔で帰す診療が大事だとして講演をスタートさせた。
小児や保護者に指導するうえでまず大事なことの1つが、「参加型」。一方通行の指導では興味をもって話を聞いてもらえない。そこで氏が考えたのが「クイズ」や「たとえ話」の活用や、患者にとって身近な話から展開していくという指導スタイル。たとえば不規則かつ頻回な間食摂取によるう蝕リスクに関しては、ステファンカーブを使った患者説明が一般的であるが、岡崎氏の場合は違う。小児に対しては、「君は食事を1日に3回で食べるのと、1日分を1回で食べるのとでは、どちらが元気になる?」と聞く。小児が「3回に分けて」と答えたら「むし歯菌も同じだよ。分けて食べたほうが元気になるから、むし歯になりやすいんだ」という具合である。一方、保護者に対しては、「歯科医院で泣かない子は間食を規則的に摂取している傾向がある」という研究結果から、間食の規則的な摂取がう蝕予防になるだけでなく、子どもが我慢することを学び、心の発達にもつながる。さらに過剰な間食摂取を避けることから糖尿病予防にもなる、といった話もできるとした。
この他、アドラー心理学の応用や不特定多数に話すときのポイント、歯科医院で子どもを泣かせないノウハウ、誤った認識になりがちな「食具共有によるミュータンス菌の感染」の考え方および実際の指導について、さらにはスポーツドリンクによるう蝕対策などにふれた。終始、臨床で実践したい指導例が繰り広げられた。
なお、本講演の振り返り配信は、2025年3月2日まで新規購入が可能である。次回のWEBINAR #64は、きたる2025年1月16日(木)、鈴木宏樹氏、松村香織氏(ともに福岡県勤務)、安藤壮吾氏(愛知県開業)による「口腔機能低下症の臨床応用2025 ~実践!口腔機能管理~」の講演タイトルで開催予定。振り返り配信、次回WEBINARのお申し込みはいずれもこちらから。