2022年2月号掲載
国民皆歯科健診制度の実現に向けて
そのためにも「生涯にわたる歯科健診の制度化」が必要である。努力義務も含め公的な歯科健診は妊産婦歯科健診、乳幼児歯科健診、学校歯科健診、成人歯科健診などがあり、すべてのライフステージでつながるようにしたいと考えている。以前から健診制度を義務化することで健診率を高めるという考え方はあったが、今では政権公約にもなり、自民党「国民皆歯科健診実現議連」が実現に向けて準備を進めていることは歯科界にとってたいへん心強い。国民皆歯科健診制度が実現すれば健診がより身近になり、歯科の受診率は上昇する。健診結果に基づき必要な受診を促す実効的な取り組みをはじめ、口腔の健康度を高めると同時に感染症対策にもつながると考えている。また、国が主体となって行うことで、十分な歯科保健予算が確保しやすくなるのも追い風である。
もちろん、国民皆歯科健診制度を実際の現場に落としこむことが重要になることはいうまでもない。広めていくのは厚労省とわれわれ歯科医師会であるが、実際に現場を動かすのは地域の歯科医師会となるため、連携・協力体制の構築が不可欠だ。そのためにまずは、国として労働安全衛生法の改正を含めた新たな制度に向けた法整備を進めなければならない。