2020年8月号掲載
新しい診療様式へ 口腔内スキャナーの可能性
その理由として、口腔内スキャナーによるデジタルデータの活用が挙げられる。このデジタルデータの保存蓄積によって、印象材使用にともなう石膏模型の長期管理などの煩雑さの軽減をはじめとする診療ワークフローの改革、災害時の歯科診療情報の確保、歯科オンライン診療時やビッグデータとの連携による健康管理などが可能となる。口腔内スキャナーのデジタル技術の活用がもたらす医療・介護の質の向上は明らかであり、この普及・推進に異議を唱える人がいるだろうか。
令和2年度診療報酬改定において、口腔内スキャナーによる光学印象は、結果としてエビデンスや費用対効果といった医学的な有用性が十分に示されずに保険導入には至らなかった。しかし、医療のICT化が加速しているなかで、エビデンスの蓄積はもとより期中導入も含めた保険導入の議論をさらに加速させる必要があるだろう。
ウィズコロナ、アフターコロナ時代の歯科として、国民が安心して歯科医療を受けることができる中長期的な未来を見据えた戦略を急ピッチで考えなければならない。第2波、第3波がすぐそこに迫っているのだから。