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2022年1月号掲載

次期改定、臨床環境の現状は?

 本来ならば歯科界の大きなテーマである次期診療報酬改定の議論の声があまり聞こえてこない。その動向は臨床現場に直接影響が及ぶのは理解しても、新型コロナの対応で臨床現場は日々汲々としているために注目度が低下している結果である。そんな今回の改定では従来とは異なる点が2つある。

 1つめは新型コロナの対応での病床区分や、補助金の乱発など医科における医院環境の混乱である。また、日本医師会と政権与党との連携も従来より緊密さが欠けている。医科の動向は、歯科に直接的には関係なくとも大きく影響を受けることは間違いない。

 2つめは歯科医院経営の現状が改定で大きく改善されることは難しい状況に陥っていることである。

 継続的に医療費抑制圧力が続くなか、歯科界を挙げて歯科領域の拡大に努めてきた。たとえば口腔と全身疾患との関係を明確にし、口腔機能低下症という新病名が保険適用となった。ところが、これを積極的に臨床現場で推進しても収入増に結びついていない。口腔機能低下症を算定している歯科医療機関はどれほどか。

 歯科医療が生業にならなくなっている。歯学部の受験生減少はその現実を見た若者の行動の結果である。その流れのなかで、現実の改善策は診療報酬改定を通してどう導きだされるのだろうか。

 コロナ禍での医療現場の混乱は、いかに社会に及ぼす影響が大きいことを経験した。疲弊する現状を恥ずることなくオープンにして、国の果たす役割としての歯科医療を守ることを訴える重要な時期がきている。