2024年9月号掲載
歯科技工士不足を解決する根本的課題
歯科技工士不足がさけばれて久しい。日本歯科医師会の高橋英登会長が「歯科技工士不足は由々しき問題」と多くの場面で発言されているように、歯科界にとっても喫緊の課題となっている。
歯科技工士学校入学者数について、全国の総数は2017年に1,000名を割り込み、2023年には718名、2024年は780名であることから、国家資格の取得者もさらに減少することが予想される。加えて、高年層の歯科技工士の廃業も進んでいく。2022年の就業歯科技工士数32,942名では、国民の健康に寄与するための補綴装置製作を担うには十分とはいえない。まさに国内の歯科技工界は負のスパイラルからいまだ脱却できていない状況だ。
長期化する歯科技工士不足を補うため、有識者の見解として、「デジタル機器の導入」「歯科技工士の職域拡大」「教育年限の見直し」が挙げられている。しかし、次代を担う歯科技工士を確保するために、それ以前に取り組むべき根本的課題は、歯科技工士の経済問題(収入)の解決であろう。
令和6年度診療報酬改定では、病院・歯科診療所などに勤務する歯科技工士や歯科技工所に従事する者の賃上げに配慮された改定が行われた。また新たに収載された「歯科技工士連携加算」を積極的に活用することで、歯科医療機関において診療をよりスムーズに行えることが期待される。
歯科技工士も歯科医師と密接に連携し、より良い補綴装置を提供するとともに、連携加算について正しい知識で対応いただけることを切に願っている。