2023年5月号掲載
世代を越えた集団アプローチの重要性
フッ化物の応用法の1つとして、ポピュレーションストラテジーであるフロリデーション(水道水フッ化物濃度調整)や学校などでの集団的フッ化物洗口がある。なかでもフロリデーションは、公衆衛生的施策の真髄といわれている。現在日本では、残念ながらフロリデーションが実施されていない。子どもを対象とした集団的フッ化物洗口は、都道府県により差はあるが普及拡大し続け、その成果が報告されている。
1970年に新潟県弥彦村で始まった集団的フッ化物洗口は、3世代を迎えていることに着目してほしい。私の町では27年目、2世代目を迎えその効果は、親子の口腔内を覗き込めば一目瞭然である。
先日、WBCで活躍した大谷翔平選手をはじめ、メジャーリーグの選手や他国の選手の多くがフロリデーションの恩恵に浴している。水道水フロリデーションが1945年に始まった米国では、4世代にわたっていることを再認識したいものだ。その次善の策とはいえ、集団的フッ化物洗口の実施が遅れると世代を越えた差となって現れる。