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2021年3月号掲載

あれから10年。記憶では、終わらせない。

 東日本大震災から10年。直後に生まれた子は、小学校高学年になった。辛いことも悲しいことも苦しいこともたくさんあったが、それを感じられたのは、生きていられたからであり、感謝しかない。

 医学も、保健も、過去の犠牲や失敗から原因を検索し、対処法を検討・実践して効果を判定し、予防にまで結びつけて発展してきた。災害時の歯科の対応に関して、東日本大震災での反省点は、5年後に起きた熊本地震において、ある程度展開できた。それから5年、その反省からさらなる進歩ができているだろうか。

 10年目は、新型コロナウイルス感染症の対応で、体制づくりの研修会などは延期や中止があいつぎ、オンライン開催へと転換した。コロナ禍での災害においては、分散避難が推奨され、避難所管理もより個別化するようになった。結果、リアルの「繋がり」づくりは難しくなり、健康支援も新たなスタイルを模索せざるを得ないが、それはリアルなしで成し得るものなのか。

 結局、歯科としては、地震が来ようがコロナが来ようが、いかにして平常時に提供している地域歯科保健医療の質と量を、人や形が変わろうとも確保しつづけるのか、というBPC(事業継続計画)を粛々と続けていくしかない。

 ぼけっとしていたら、地球に叱られた。10年後の余震だという。さらには暴風雨。もはや、それぞれにおける対策では間に合わない。公が主導し、All Hazardsアプローチにて評価したリスクに対して、総合的・俯瞰的観点から対応していくプラットフォームが必要とされている。