2024年10月号掲載
国策としての医療DX推進のカギは?
※本記事は、「新聞クイント 2024年10月号」より抜粋して掲載。
令和6年度診療報酬改定において、国民の健康寿命延伸とQOL改善に寄与する理念の下、多くの「かかりつけ歯科医」が、持続的に目的を果たせるよう、特段の配慮と所要の改定を求めてきた。それに加え、「医療DXの推進による医療情報の有効活用」なども議論された。
日本歯科医師会は、政府が推進する医療DXについて一定の評価をしており、実現すれば国民にとって安全・安心でより質の高い医療提供ならびに医療現場の負担軽減、ひいては国民みずからが健康増進・健康寿命の延伸に取り組むきっかけにつながり、日本の社会全体のメリットになると考えている。
医療情報プラットフォームの基盤としては、オンライン資格確認、電子処方箋、電子カルテ情報共有サービスが挙げられ、実現に向けて「医療DX推進体制整備加算」が新設された。評価の見直しとともに段階的に体制が整備される方向性だが、システム導入のハードルが高く、笛吹けども踊らず感はぬぐえない。また断続的に導入を要求される種々のシステムについては、自身で取捨選択を行わねばならず、医療DX の流れに乗り切れない歯科医療機関も多い。
本会では、会員に向けて正確かつわかりやすい周知・広報を続けており、厚生労働省に対してもHPKIカードを含め歯科医療現場で今後何が必要か、前広な情報提供を求めている。
国策としての医療DXが拙速に進められ、医療現場や国民に混乱と負担増を生じさせている現状は理解しがたい。推進のためには納得感のある十分な支援と期間、ていねいな説明が必要と考える。