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2023年5月号掲載

新理事長に就任した日本臨床歯周病学会の「顔」

歯周治療の研鑽を積める有意義な学びの場を提供したい

 (特非)日本臨床歯周病学会は、1983年に臨床歯周病談話会としてスタートし、昨年で40周年を迎えた。現在は歯周病・インプラント・歯科衛生士にそれぞれ認定医・指導医制度を設け、多くのスペシャリストを輩出し続けている。このたび、12代目の理事長に就任した木村英隆氏(福岡県開業)は、2003年 4月から4年間にわたり学会の黎明期を支えた1人である船越栄次氏(福岡県開業)のもとで研鑽を積んだ経験をもつ。本欄では、木村氏に新理事長としての抱負や学会としての今後の方向性についてうかがった。

木村:(特非)日本臨床歯周病学会(以下、本会)は、初代会長の故・川崎 仁先生らによるアメリカ歯周病学会を模範とした「すばらしい臨床家の集う学会を日本にも」との思いから、1983年に臨床歯周病談話会として創設されたことが始まりです。その後、2006年から現在の名称となりました。

 本会は、歯周治療の研鑽を通じて、国民の健康、福祉の増進に寄与することを目的に活動を行い、昨年で40周年を迎えました。全国の7つの支部(北海道、東北、関東、中部、関西、中国・四国、九州)が活発に活動し、継続的に学習できる環境が整っています。昨今のコロナ禍の影響を受け、オンライン会議システムを積極的に利用するなど様式が変化したことで、他支部のメンバーと学びを深められるイノベーションを図り、ピンチをチャンスに変えてきました。今までの事業を継続しながらも、より会員の皆さんにとって有意義な学びの場を提供できるような魅力的な組織づくりを目指し、ともに研鑽にできる仲間を増やしていきたいと思います。そして、本学会から多くの先生が歯周病専門医を取得する流れを醸成したいです。

 また昨年、国民に向けた歯周病の周知と口腔ケアに役立つ情報の発信を目的に、アニメーション動画(にゃんかむちゅ~)を公式YouTubeチャンネルで配信しました。なお、今秋には追加動画を配信する予定であり、より多くの国民に見てもらうための周知方法もあわせて検討しています。
 そして、きたる6月には第41回年次大会が「再生医療NEXT STEP」をメインテーマに福岡において開催されます。これまでになかった取り組みとして本大会では、若手の先生を対象とした新進気鋭セッションおよび歯科衛生士を対象としたミニシンポジウムを予定しています。なかでも優良な発表をオンライン投票にて募集することも検討していますので、人材発掘の場や新しい試みになることを期待しています。

 本会の会員として身に付けていただきたい基礎的な知識や技術については、中長期にわたり継続的に研鑽できるような学習プログラムを整備したいと考えています。昨今のデジタル化の流れやコロナ禍を経て、社会様式や歯科臨床は大きく変わりました。40年の歴史を大切にしつつも、新しい取り組みを取り入れることで多種多様な社会変化に対応できる組織を構築したいと思います。